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名所散策_皇居二重橋お濠沿い高欄

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正月明けの週の東京は相対的にビジターの少ない観光オフシーズン。とはいえ、朝早い東京駅は、それはそれは日本人はもとより海外からの観光客の往来ですさまじい。東京駅からほど近い皇居正門前広場も、外苑からここに至る一帯は障害物がなくて冬は吹きさらしの風が肌を刺すほどに冷たいものの、あたりは外国の言葉が飛び交う賑わい。 皇居正門は一般参賀や外国大使信任状捧呈式の折に使われる皇居への入場門で、正門前広場一帯はテレビ映像などでも見る機会が多いところです。昨年末の新駐日米大使のキャロライン・ケネディ氏の大使信任状捧呈式では、明治生命館→馬場先門交差点→皇居外苑→皇居正門→宮殿南車寄という馬車列のコースであったし、もう少し前だと、2009年11月の天皇陛下御即位二十年をお祝いする国民祭典で、EXILEが歌とダンスを披露した場所でもあります。 この正門前広場には二重橋のお濠に沿ってブロンズ製の高欄(柵)があって、これはなかなかと趣のある立派なものです。モチーフはお馴染みのアカンサスで、明治21年に作られた鉄製(鉄鋳物製)のものが、平成8年にブロンズ(青銅鋳物)に復元改修されています。ギリシャの神殿柱頭様式のコリント様式と言われていますが、柱の左右の葉端を丸めた柱頭のデザイン処理はイオニア様式的で、実際のコリント様式の神殿柱頭はもっと複雑ながら、全体的に見れば確かにコリント系様式です。 ギリシャ美術は数百年に渡る長い年月の中で、海のギリシャ本土と植民地、あるいは広く地中海地域という立地の中で、民族間の戦役をへながら多様な変遷を遂げますが、大雑把な見方をすれば、時代とともに表現に自由度と描写性が増し、対象が神話的なものから現実の人間主体に移ってゆきます。 建築で装飾性の強いコリント様式が台頭してくるのはギリシャ美術後期で、アレクサンドロス大王がギリシャ全土を征服し、ペルシャ・エジプト・インド国境までを勢力下においたヘレニスティック時代で、さらにその次のローマ時代に多く見られるようになります。ローマ時代の代表的なものとしては、紀元後120年頃のハドリアヌス帝の時代に作られたパンテオンです。ハドリアヌス帝時代のローマというと馴染みが薄いかも知れませんが、話は飛びますが、阿部寛・上戸彩主演の映画「テルマエ・ロマエ」の時代設定がこの時代です。ギリシャとローマの建築物の大きな違いは、ローマ建築にアー