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ハートの形はいろいろ

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先頃、額縁店さんからハート形のマド抜きマットのご注文があって、数日後ご来房いただいた折に見本をお持ちになっていて、これと同じものというご指定でした。 予想はしていたものの、見本と当工房でデフォルテで用意しているハートシェイプとのラインがピッタリと合わない。ハートの形は決まっているのではないの、とおっしゃるのですが、実は楕円とハートは一番厄介なのです。カットすること自体はなんら問題はないものの、どのライン取りをするかという点が問題で、起点間の円弧のライン取りはいくらでもあるので、例えば左右上下の外形サイズを一定にしたとしてチョコチョコと描くだけでもこんな感じです。 なんでもいいからという場合は楽なのですが、「この形状で」となるとその形状をトレースする作業が出てきて、多くの場合サンプルの形状は左右対称ではなくラインも適当なので、なめらかなラインを出すための起点の位置どりも調整する必要があったりで、殊更に時間がかかってしまうのです。 とはいえ、見本通りがご希望なので、そのように仕上げてお納めした次第です。 複数枚のご注文だったので、詳しく聞かなかったけれど、納品先はブライダル関係なのかな~!

この写真台紙の色はホワイト系?

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この古びた写真台紙、一見ホワイト系の台紙の様に見えますが、実は四角いグレーの部分が台紙の元の色で、他の部分は長年の間に色が飛んで白くなってしまい、グレーの部分はプレートが貼られていて剥がすと元の色が出てきた、という次第です。 細部を見れば退色だけでなく全体に黄変が進んでいて、黄変の状態は裏面を見ればもっとよくわかります。 この台紙は写真の業者さんからの持ち込みで、同サイズの新しい台紙のご依頼だったのですが、写真の周辺部にも黄変が進んでいたそうで、台紙を新しくするということは今後も残しておきたい写真なのでしょうから、台紙の色褪せはともかくとしても、台紙そのものの酸化が進んでいることの方がより問題で、台紙だけが原因ではないものの、中の写真が痛んでしまったというのは残念なことです。 当工房では使っていませんが、日本ではこの様な質的に長期保存に向かない台紙は現在でも流通していて、マド抜きのカット方法を見ると、概ね10~15年以上前のものという感じです。 大切な写真を額縁に入れて飾っているという方は、早速に額縁を開けてチェックされることをお勧めします。 黄変とかがひどい様であれば、劣化したものは元の状態には戻せませんが、対処によって劣化の進行を遅らせることが可能です。

横谷宣さんの写真作品を拝見する機会に恵まれた

先頃、お客様からお電話で写真の額装のご依頼をいただいたので打合せ日をきめて、詳しい内容は伺わなかったので、さてさてどんな写真なのだろうと思いつつ、ご予約日にお越しになった女性の手にはB4大の封筒がありました。 その封筒のボリューム感というかなんというか、いやいや作品のオーラなのか、これは半端ではないプロの作品のようだというのが直感的にわかったのですが、封筒からあい紙が丁寧に挟まれたタトウ紙を抜き出し、開いてまず一枚取り出してみると、はっとするようなシルーバープリントの写真が出てきて、ええーっと思いつつ、複数枚あったすべての写真を取り出してみると、いやいやこれはことさらに次元が違う、横谷宣さんの作品ですかと尋ねると、そうですとのことで、実にすばらしいとついつい見入ってしまいました。 これらの作品をご自宅に飾りたいということなので、それは羨ましいほどに素敵な話なので、またまた感心してしまいました。 展示するということは一面では作品が痛むという危険性が高くなるものの、予算の許す範囲で額装処方全体で作品劣化をより低減する処置をして、展示方法や取扱いに配慮しつつ、素晴らしいものを身近で見てこそ作品も生きるし、なにより楽しいし心豊かになります。 額装のレイアウトを決める際には展示場所の寸法や内装パーツの状況というのは必要な情報なのですが、近頃はみなさんスマホでスッスーと画像を出して見せて下さるので、実に話が早い便利な時代になりました。 今回の額装品、ご依頼品なのでお見せできないのが残念です。 横谷宣写真展「黙想録」が東京のgallery bauhausで開催されたのが2009年1月。この写真展は大変な盛況で作品のオーダーも多くあったそうなのですが、作品が実際に注文主の手に届いたのが実にその4年後の2013年で、その間プリントをとことん試行錯誤されていたのですが、待たせた方も待たせた方だけれども、待った方も待った方で、いやいやすばらしい。その2013年7月には、横谷宣写真展「森話」が同じくgallery bauhausで開催され、ギャラリートークが3回も開かれるという盛況ぶりでした。 >横谷宣写真展「黙想録」 http://www.gallery-bauhaus.com/090107_yokotani.html   >横谷宣写真展「森話」  http://