投稿

2012の投稿を表示しています

鉛筆礼讃|鉛筆の話(壱 )

イメージ
鉛筆は最初どう使われたのか? 鉛筆といえば、まず文字を書くものという答えが返ってくると思いますが、鉛筆の故郷ヨーロッパでは、罫を引いたり、絵を描いたりするものとして発達してきたようです。ヨーロッパには、葦ペン・鷲ペンの文化があり、鉛のペンシルは芯を棒状にし、先を尖らせた程度のもので、細かい文字を描くのにはむいていなかったからだ、という説があります。 鉛筆は、なぜ"鉛"筆なのか? 鉛筆の芯は、黒鉛(blacklead)で鉛(lead)ではないのですが、なぜ鉛筆なのか。実は、黒鉛が発見される前には鉛のペンシル(leadpencil)が実際にあって、黒鉛が使われ始めた後も"鉛ペンシル"と呼んでいたため、それを直訳して「鉛筆」となったようです。鉛ペンシル以外にも銀、金、真鍮、青銅などもあって、レオナルドヴィンチの素描の中にも銀筆で描かれたものが見られます。激動のルネッサンスの中で鉛筆も時代にもまれ、ボローデール山脈から発見された不思議な物質は、僅か200年で掘り尽くされてしまいます。 消しゴム付き鉛筆は誰が考えた? アメリカのある絵描きさんが考えたそうですが、この人はデッサン中にすぐ消しゴムをなくしてしまう癖があったようです。特許を正式に取ったのは、アメリカフィラデルフィアに在住のハイマン・L・リップマン、1858年。考案者でない人が特許を取るところが、いかにもアメリカらしい。 黄色い軸の消しゴム付き鉛筆「MIRADO」 黄色はアメリカ人の好きな色で鉛筆の軸も黄色でないと売れない、というような真偽のほどは定かでない話が昔ありました。そのアメリカでポピュラーな黄色軸消しゴム付き鉛筆がMIRADO。『硬度はMEDIUM/SOFT/B、ブランドはEAGLE,made in usa』というのはもう30~35年前の話。現在は、硬度4B~4H(消しゴムなし)、硬度HB(消しゴム付き)で、メーカーブランンドはBEROL。 そしてもっと昔、「MIRADO」は、「MIKADO」という名前でした。イーグル社の公式社史には、『真珠湾開戦まではMIRADOはMIKADOと呼ばれていた』と書かれています。第2次大戦前に日本製の鉛筆がアメリカで販売されていて、これがなかなか好評だった。そうした背景の中で日本語が名前になった「MIKADO(帝)」という鉛筆がありま