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情報とオリジナルの質のギャップ

絵本挿絵作家の米本さんが2週間ぶりに当工房へご来房。来たる5月に君津市民文化ホールで開かれる《スーホの白い馬/西川古柳(人形浄瑠璃・八王子車人形)x美炎(馬頭琴)×米本久美子(描下ろしイラスト映像)のコラボ公演》の背景用に描いた原画の額装のご要望でしたが、先日来1週間に渡った東京下北沢での個展では色々な人との出会いやら繋がりの輪も広がったそうで、オープニングの馬頭琴・美炎さんのライブも盛況で、加えて、ライブの時の料理がとてもおいしかった、といろいろと収穫多き個展だったようです。 オープニングライブの美炎さんのブログを読んでいるとこんなくだりがありました。 『・・・映像とのコラボはとても評判が良かったです。(米本さん関係の)出版社の方に、今日来る前に美炎さんの動画をYouTubeで検索していくつか聞いたんだけど、生演奏と全然違うね!あれは逆効果だから、かえってUPしない方がいいよ。音質も映像もいいのを撮ってUPしないと、もったいないよ。ということでした。むむむ・・何か考えないといけませんね。・・・』 活動のひとコマをスナップショット的に紹介している動画のことだろうと思いますが、生演奏の方が悪かったという話よりも良いものの、情報とオリジナルの質のギャップというのは考えさせられてしまう問題です。 情報発信が手軽にできてしまう現代、平面の美術作品にも当てはまりそうな話です。 さてさて、美炎さんは来たる4月29日、岡山県牛窓でライブだそうです。 岡山県瀬戸内市牛窓町 カフェてれや 19:30? 2500円 ワンドリンク付き https://ja-jp.facebook.com/tereyacafe http://tere-ya.at.webry.info/

ルオーとフォーヴの陶磁器

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「 ルオーとフォーヴの陶磁器 」展が始まりました。〈パナソニック汐留ミュージアム、2015年4月11日~6月21日〉 マティス、ドラン、ヴラマンク、ルオーなど1905年のサロン・ド―トンヌでフォーヴィスム(野獣派)と称された画家達が、当時、陶芸職人アンドレ・メテの工房で取り組んだ絵付け陶磁器が紹介されてます。日本にはコレクションが少なく、フランスからの来日作品70余点は日本初公開、メテの作品18点は世界初公開ということで、当たり前ですがマティスの絵付けはマティスらしいし、ドランはドランらしいし、ルオーはルオーらしい。なかなかと楽しめます。 フォーヴの陶磁器作品は1907年のサロン・ド―トンヌにまとめて出品され、またルオーは1906年~13年の長期に渡り熱中したようです。 1900年頃はどんな時代であったかというと 1899年|明治32年|フランスで翌年の万国博覧会に合わせてエッフェル塔が完成 1900年|明治33年|パリ万国博覧会 1903年|明治36年|第一回サロン・ドートンヌ(フランス) 〃〃〃〃〃〃〃〃〃 ゴーギャン死去 〃〃〃〃〃〃〃〃〃 米国でライト兄弟が飛行機の有人飛行 1906年|明治39年|セザンヌ死去 1907年|明治40年|ピカソ「アヴィニヨンの娘たち」(キュビズムの萌芽) サロン・ド―トンヌがスタートした1903年のポスターを見ると、なんとなく時代感が伝わってきます。 ⇒  サロン・ド―トンヌ展ポスター フォーヴィスムは「野獣派」という意味合いで、1905年のサロン・ドートンヌでのマティスをはじめとする一群の若い画家たちの強烈な色彩とタッチの作品から命名されたのですが、流れとしては、ゴーギャンやゴッホやセザンヌのマチエールや色面構成に触発され、また日本の浮世絵などからも示唆を受けながら、自然主義的描写でない個々の感覚による色彩表現を追求するというものなので、新しい流れに転換して後は、個々が自分の個性に沿って行動していて、芸術上のまとまった主張という点では、5~6年で消滅しています。

風俗画!ルーヴル美術館展「日常を描く---風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」!

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≪ルーヴル美術館展「日常を描く---風俗画に見るヨーロッパ絵画の真髄」≫が国立新美術館で開催中〈東京六本木、~6月1日〉です。3月27日現在で来場者が20万人突破ということで、なかなかと盛況の様子です。 この展覧会は京都へ巡回されますので関西以西の方には京都が好都合です。 =京都展= 会場:京都市美術館(京都市左京区・岡崎公園内) 会期:2015年6月16日(火)-9月27日(日) 京都展開催概要: http://www.ytv.co.jp/louvre2015/info/index.html 展覧作品は「風俗画」としてしまうにはやや枠を超えているし、またカテゴリー別の構成はそれはそれで面白い発見もあるかも知れないものの、結果的には断片的で作品の地政的関係が希薄、悪く言えばごちゃまぜになっているので、流れ的にはわかりづらいのではと心配しつつ、それはさておき、特段に「風俗画」とうたわなくても良い程に主だった作品が並んでいるので、年代と地域さえ踏まえて観れば、ルネサンス以降の16~18世紀のヨーロッパ絵画の変遷に触れることができます。また、展覧作品に共通することは「キャンバス(画布)に描かれた油彩画(一部「板」)」であるので、ルネサンス以降本格化する油絵の地域性を見ることもできます。ただ、絵具は現代のようにチューブから絞り出してすぐ使えるような便利なものはなく、また色数も少ないものでした。 純粋に独立した「風俗画」又「風景画」がヨーロッパに展開するのは17世紀のオランダで、その時代のオランダを代表する作家は、レンブラントまたフェルメールですので、この17世紀オランダを基準に、16世紀のヴェネツィア絵画、フランドル絵画、スペイン絵画、18世紀のフランス絵画を比較しながらご覧になれば、絵画的傾向の違いが解説なしになんとなくわかるのではないかと思います。絵を飾る額縁にも国や時代の風潮が反映されているので、作品と合わせ額縁にも少し気を留めながらご覧になると良いと思います。但し、すべてがフランスルーヴル美術館で展示に使用されている額縁という訳ではありません。フェルメールの「天文学者」もイメージは類似していますが、ルーヴルでの額縁とは異なります。 「風俗画」という言い回しは美術の分類で便宜的によく使われますが、「風俗画」の対比語は、15世紀的視点に立つと「宗教(教会)画」、18世紀