黒&白 BLACK & WHITE

知り合いの写真家の個展オープニングに出かけました。冬のフランスシャンゼリゼ界隈のライカ散歩のモノクローム写真は、2週間程前に見せていただいたテストプリントと少し調子が異なっていて、直前まで試行錯誤された様で、私より年齢はずっと上ながら、そのこだわりは若々しい。

会場には20代~の若い方が多く、というか私が年寄りなのですが、話のなかで若い女性の方から「白黒写真」という言葉が出てきた。私などは昔から「黒白写真」という使い方だったので、「白黒」でも「黒白」でもどちらでもよくて、言葉使いがどうだということではなく、どうして「白黒」という順番になったのか不思議でした。いつもそういう使い方なのと尋ねてみると『そうです、モノクロと言うし』という意味合いのお答だった。

「モノクローム」という表現は写真分野で固有に使われる言葉ではなくて、広く美術の分野で、必ずしも黒ということではなく「単彩・単色」の意味合いで使われます。『モノクロ』はこの「モノクローム」の短縮造語と思います。

欧米での使われ方は「BLACK AND WHITE」と「黒」が先で、イギリスの歴史ある写真材料メーカーのILFORD社での表現も「BLACK & WHITE」であるし、日本の富士フィルムの表現も「黒白フィルム」だし、今やグローバルな国際化時代なので、世界を活動の視野に入れて世界標準の「黒白」と覚えておいた方が良さそうです。
日本でよく使われる「モノクロフィルム」という表現は欧米の人には通じづらく、「BLACK & WHITE FILM」と言えば通じます。同様に、「モノクロ写真」という表現も通じづらく、「Monochrome Photography」とか「BLACK & WHITE Photography」と言えば通じます。

さて、その若い女性の方が持参のカメラは、オリンパス「OM-1」で、レンズは見た感じ「ZUIKO 50㎜F1.4」でした。1973年発売のカメラで、この50㎜は小ぶりながらシャープで優秀なレンズで、反面シャープネス優先的で開放域での描写が硬いというのが私の印象です。これは当時の他のメーカーの同クラス50㎜も同様で、レンズ設計は時代背景に影響されるので、レンズの描写は時代を象徴していると言えそうですが、この頃日本は1964年の東京オリンピック後の高度経済成長期第二期の時代でした。

この「OM-1」+「50㎜F1.4」は状態も良さそうだったので、まだまだ現役で頑張れそうでした。
 

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