ELGRECO2014 エルグレコ400年祭 

スペインの画家エル・グレコ(1541年~1614年)が亡くなって今年で400年。スペインのトレドではエル・グレコ400年祭の《ELGRECO2014》が開催されています。
日本ではこれに先立ち、2012~2013年に「エル・グレコ展」(国立国際美術館並びに東京都美術館)が日本過去最大規模で開催され、晩年の作品と言われるサンタ・クルス美術館蔵『無原罪のお宿り』(初来日)を始め、ティッセン=ボルネミッサ美術館蔵『受胎告知』ほか50余点が展覧されました。

エル・グレコ財団によると日本にあるエル・グレコ作品はわずか2点で、『十字架のキリスト』(国立西洋美術館)と『受胎告知』(大原美術館)です。『十字架のキリスト』の直近での公開は《2014年7月8日~9月15日 橋本コレクション_指輪_神々の時代から現代まで_時を超える輝き 》でしたが、西洋美術館の評価ではエル・グレコの100%直筆ではなく工房作品とされていますので、日本にあるグレコ作品と言えるのは『受胎告知』の一点のみとなってしまいます。大原美術館では常設展示されています。

スペインは古くは古代ローマ帝国の勢力下にありましたが、6世紀頃には西ゴート族に支配され、8世紀初めにはアラブから侵入してきた回教国のウマイヤ朝に征服されます。11世紀にキリスト教国が領土を奪還し、結果的に回教文化とキリスト教文化が混在する土壌が育ちます。キリスト教寺院でありながら回教寺院の様式を残しているムデハル様式と呼ばれる建造物が見られるのはこのためです。15世紀以降、王国統一に伴いキリスト教主導となってゆきますが、エル・グレコが活躍したのはこうした時代のスペインのトレドです。

先頃日本公開された『無原罪のお宿り』は本来は教会内部の祭壇に設置されている宗教画です。これを展覧会で公開しようとすると祭壇ごともってくるわけにはいかないので、そこからはずして何らかの額縁を付けて展示されます。細い額縁を付けても展覧会場で見ると縦347×横173cm(作品のみ)というサイズは見上げる程に大きな作品ですが、この作品が現在収蔵されているサンタ・クルス美術館のその高いドーム天井の空間の中では決して大きいという訳でもなく、作品が生まれた文化風土の中で見ると感じ方も異なることがあります。
トレド大聖堂はトレド大司教座がおかれるスペインカトリックの総本山で、その内部装飾は豪華絢爛で壮大なものですが、その聖具室正面の祭壇にエル・グレコがトレドで初期に手掛けた『聖衣剥奪』(縦285×横173cm作品のみ)が収められていて、高さが20m近くありそうなドーム型天井の広い空間の中で、作品はむしろ小さいと思えるほどながら、その衣の「赤」が実に冴えています。
この作品は《ELGRECO2014》に際して、今回修復が施されました。

さて、以下《ELGRECO2014》関連の映像のご案内です。


=/= 公式プログラム『グレコと現代絵画』の準備 プラド美術館 =/=



=/= 公式プログラム『グレコと現代絵画』2014/6/24-10/5 プラド美術館 =/=



=/= 『聖衣剥奪』修復後の一般公開 プラド美術館 =/=



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