ターナー展|2013/10/8-12/18|東京都美術館

19世紀のイギリス風景画の代表的な画家であるジョゼフ・マロード・ウィリアム・ターナー(1775-1851)の展覧会が開催されます。
世界最大のコレクションを誇るロンドンのテート美術館から、油彩画の名品30点以上、水彩画、スケッチブックなど計約110点の展覧です。

[会期] 2013年10月8日(火)~ 12月18日(水)
[会場] 東京都美術館 企画棟 企画展示室
[休室日] 月曜日(ただし10月14日、11月4日、12月16日は開室。10月15日、11月5日は閉室)
[開室時間] 午前9時30分から午後5時30分まで(入室は午後5時まで)
[夜間開室] 毎週金曜日と10月31日、11月2日、11月3日は午前9時30分から午後8時まで(入室は午後7時30分まで)
*東京展の後は神戸展へ巡回されます。神戸市立博物館 2014年1月11日-4月6日。

ターナーと言えば、特に晩年の独特の光と大気の描画が印象的です。不透明な下地の上にイエロー系のグラッシュをのせる技法で、何層ものグラッシュで画面の奥行き感を出しています。
ターナーの時代は化学工業が急速に進歩した時代で、クロム系顔料、コールタール系レーキ顔料が開発されました。黄系ではクロムイエロー、カドミウムイエロー、コバルトイエロー、バリウムイエロー、ストロンチウムイエローなど10色前後が現れますが、ターナーのパレットの絵具を見ると、当時利用でき得たすべての「黄色」をテストしていたと言われます。
1800年代初頭の作品の光と大気の幻想的で情緒的な趣向は浪漫主義的ですが、1830年頃の作品になると明るい光と色彩の表現が際立ってきます。この明るい光と色彩の表現は後のフランス印象派のクロード・モネなどに影響を与えたと言われます。

必ずしも安定していたとは言えない当時の絵具や媒質の経年変色とか考えると、当時の輝きとは異なるのでしょうが、それらは差し引きながら、オランダ・フランドル系風景画が育ったイギリスの風景画の変遷を見るのも楽しそうです。

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