アール・デコ_東京都庭園美術館リニューアルオープン

東京都庭園美術館が2014年11月22日、リニューアルオープンします。フランスのアール・デコ様式を取り入れた旧朝香宮邸の1933年創建当時に近いスタイルに改修され、また別棟で展示空間も新設されました。アール・デコに興味のある方はお出かけ下さい。






ヨーロッパでの産業革命以降の近代化は、社会構造や生活様式に大きな変動をもたらし、近代工業の成果である鉄・コンクリート・ガラスの技術が取り入れられて、伝統的構造物から脱却した新しい構造物が造られるようになります。

無機質な近代化への反動的とも言える自然主義的趣向やジャポニズム的な流行、また市民革命以降の浪漫主義的趣向を背景に、19世紀末~1910年頃、自然の植物の流動を基本的なモチーフとし、機能や合理性を必然としない幻想美的な建築・工芸趣向が流行ります。これがフランスの「アール・ヌーヴォー」です。この流れは、他のヨーロッパの国々で同時進行的に起こり、それぞれのお国柄を反映しながら発展し呼び名も国によって様々です。

「アール・ヌーヴォー」は比較的短命に終わります。それ以前の伝統的様式に対しては新たなアプローチではあっても、構造上の必然から生まれた形状ではないため機能性という切り口では劣ります。近代化の中で、それに対応した機能的な建造物への要求が強くなってゆきます。「アール・ヌーヴォー」の様な一品モノ的な形状ではなく、工業化が容易な形状が求められ、また装飾柄もパターン化の容易な幾何学文様などが重宝されるようになります。この趣向が「アール・デコ」で、年代的には1925年頃~です。

さらに時代が進むと、「意匠よりも構造」・「装飾よりも機能」が優先される方向がより強くなってゆき、「アール・ヌーヴォー」や「アール・デコ」は退廃的装飾趣味と見られるようになります。
退廃的なのか優美なのか、時代が異なれば評価も異なります。

コメント