半世紀ものの額装ご依頼が多かった!

ここ1ヶ月程の間でご依頼の多かった額装の品物は、どういう訳か半世紀ほど前の物で、企業の歩の中の歴史的書簡、個人の趣味的な記録や写真、コレクションなどなどと様々なのですが、半世紀というのは、世代の交代とか人の活動サイクルといった点では、ひとつの節目なのかも知れません。ご依頼品のひとつの企業ご担当者の方の「私もあと何年かで定年なので、次の世代へ・・・」という言葉が印象的でした。

その半世紀という歳月を経て、持ち込まれた品物はそれぞれ経年による劣化が起こっていて、額装された写真の中には、印画紙が大きく波打って画像の部分的欠損や割れが生じていたものもありましたが、傷みが比較的少ないものもあれば激しいものもあるという状態で、その度合いに差が出るのは、それぞれの物性や置かれていた環境、あるいは額装の適否などに左右されているためです。

こうした物の経年劣化は酸化や物理的変質ですので、その進行を止めることはできませんが、環境を整えることによってそのスピードや度合いを軽減させることは可能です。人間の老化を止めることはできませんが何時までも若々しく、というイメージに少し似ているかも知れません。
額装であれば、適切な材料と高度な技術で処理されることが必要です。一方で、部屋の環境も大切ですが、美術館ではなく一般的な生活の空間となると当然制限が出てくるとはいえ、それほど厳密に考えることもなくて、人間が過ごしにくい環境は物にとっても過ごしにくい、ということが基本です。

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